もらい窓

もらい窓

ある日、窓がやってきた。
私の窓好きを知る、お世話になっていた方から
「アトリエを片付けていて、昔、ニューヨークで買った古い窓枠が出てきたんですが、窓好きのクリスさん、もらって頂けませんか?」
とメッセージが届いたのだ。
添付されていた写真を開くと、片手で持てるサイズの、
アーチ型の木枠の窓が2つ。
うぅ、すてきだ…「頂きたいです!」と即返信。
どう使うかは全く考えずに。

可愛らしい形だが、木のやれた感じもあって
落ち着いた雰囲気のある窓だった。
我が家にやって来てからは、場所を変えて壁にかけては、
絵の額にしても良さそうだな、鏡を入れて使おうかと、
眺めながら考えることしばらく。
それから1,2年、窓枠が我が家に馴染みはじめた頃、
古い家を改装することになり(Cafune)
奥の小部屋の窓をどうするか考えているときに
「あ…わたし、窓持ってる!」とふと思い出した。
「あの窓枠から外の緑を眺めたら素敵に違いない」
と思いが膨らみ、大工さんに相談すると、
足りないところを上手く補って、窓として嵌めてくださった。新しく小さな取手をつけて。
窓を頂いたときには、まさかこんな流れになるなんて、
夢にも思わなかった。

部屋がないのに窓はあって、
窓を持っていたら部屋ができた。
見るたびに、ここにぴったりだったなぁ、と悦に入る窓。

窓は、どう思っているかな。ここからの景色を。

 

 

photo: Kentaro Kumon

Date

2025-01-22

Category

Stories