収集癖はないはずなのだが、見回してみると、いつの間にか増えているものがある。
器、本、鞄あたりは省いて考えると、たとえばドアノブ、たとえばサボテンモチーフのもの。
アンティークのサラダサーバーも、そんな一つだ。
大きなボウルサラダを毎日食べるわけでもないのに、
ついつい巨大なスプーンフォークが集まってくる。
レストランのベテランスタッフのように、
あの大きく長いスプーンとフォークを片手で軽やかに操る技も持ち合わせていないので、うまく使えた試しもないのだが、果たして今日はちゃんと使いこなせるかどうか?
日常に小さなドキドキを時々、密かなチャレンジをもたらすあたりも案外好きな点かもしれない。
サーバーは、一人の時には出番はない。
使ってもいいけど使わない。
家族や友人が集まった時に、みんなにおいしいものをサーブするために在るのだから。
持ちやすいものが好まれるのかもしれないが、
私はちょっと不恰好なものも愛嬌があるなぁと思うし、
きっと誰かをクスッとさせてくれるのではないかとも思う。
そういう私も、見るたびに、この大ぶりなサイズ感を面白く感じる。
遠近感、距離感を一瞬見失い、サーバーを手にすると、
自分の体の大きさが不思議の国のアリスのように変化する(気がする)のだ。
使いやすさ追求の末、いつの日からかトングという道具に
その座を明け渡してしまった感もあるが、私としては、
その日の大皿に合いそうなサーバーを選んで置いた時点で
「さぁ召し上がれ!Bon Appetie!」とお皿は完成させたい。
photo: Kentaro Kumon
2025-01-22
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